農家生まれの文学少女。

最近ハマっているものことについて紹介していきます。

『だってつまんないんだもん。』は自分がつまらない人間だっただけでした。『楽しさ』は自分次第。~最終話 言葉。

 

こんばんは、ゆるみな(@yurumina)です。

 

月日が経つのは本当にあっというまで今から老後が不安です…。孤独死だけは避けたいです。旦那さんには長生きしてほしいです。あ、旦那どころか彼氏もいないんだった。

 

 

 

 

前回までのお話はこちら。

 

yurumina-0411.hatenablog.com

 

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さて私の昔話にもそろそろ退屈してきたところかもしれませんが(笑)今回で最後ですのでゆるーく読んで頂けたら嬉しいです。どうしても書き留めておきたくて。ただの自己満足なんですけど、くじけそうになった時いつでも読み返せるように…

 

 

no.11 あいつには全部お見通しだった  

件名 ケーキの引き渡しについて。

本文 頼まれてたもの、作ったんだけど…

   いつ取りに来ます?       

とだけ書いて送信した。

 

送信ボタンを押す時、手が震えているのがわかった。(なんでこんなに緊張してるんだろ、たかがこんな短い文章一つ送るだけのに…。)無意識に、“誤字はないか”とか“文脈は変じゃないか”とか画面に穴が開くんじゃないかってくらい何度も見返した。

 

それなのになんでこんなに胸がざわつくんだろう。なんでこんなに心が締め付けられるくらい不安になるんだろう。たった38字の言葉を届けるだけなのに…。

 

懐かしい気持ちだった久しぶりの感覚。そうだ、私は忘れていた。言葉の重みを。言葉がいかに人の心を動かし、いかに人を傷つけ、時には救うものなのか。私は言葉の力を軽く見過ぎていたのだ。

 

初めてあいつに言われた言葉を思い出す。

 『毎日そんなくだらない話を公共の電波使って話してんの?電波妨害だからやめて。そんなことのために電波使わないで。邪魔。電波の無駄遣い。』

 

「ああ、そういうことだったんだ…あいつには全部お見通しだったてことね。」言葉が漏れる。私が話す内容に対して邪魔とか無駄遣いだとか言っていたわけじゃなかったんだ。私が発する言葉が空っぽだったことに対して怒っていたんだ。

 

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no.12  追いつかなきゃ。取り戻さなきゃ。

 

 

ふと、時計を見上げると時刻は12時13分。【あいつ】からの返事はない。「もうお昼すぎてるじゃん、いつまで寝てんのよ。」そわそわする気分を紛らわすため、お昼ご飯の準備をする。(…あ、そうだ。)

 

今から親に車を出してもらってケーキの材料を買いに行き、作るとなるとぎりぎりになってしまうし、いつ【あいつ】が取りに来るかもわからない。それならケーキは諦めて夜ご飯を作ってお祝いしよう。

 

そう思い立って早速、部屋にあったレシピ本を開いた。サラダ、スープ、メイン…彩と栄養バランスを考えながら選んでいく。そして頭の中でつくる過程をシュミレーションしながら優先順位をきめる。

 

「アボカドは変色しちゃうから最後にカットするとして、お米は忘れないように先に炊かなきゃ!」料理のこと考えている間はやっぱり楽しい。気が付いたらいつの間にかもう2時間もレシピ本を眺めていた。

 

一通り、作り方を頭の中に詰め込んで冷蔵庫の中を見る。レシピに書いてある食材で家にないものは代用できそうなものを使う。農家の冷蔵庫は旬の野菜が常に入っていたことはあの頃は普通だった。※今考えたらなかなか贅沢なことだ

 

久しぶりにキッチンの前に立つと昔より、台所が低くなったように感じいつの間にか自分の体は心を追い越して先に成長してしまっていたことに気付いた。

 

「追いつかなきゃ。取り戻さなきゃ。」

 

私は忘れかけていた、体が黙っていられなくなるほどの焦燥感にかられた。

 

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no.13 二人の“人間”の結婚記念日

 

 

午後4時を回っても一向に【あいつ】 からの返事は来ない。

 

変な不安が押し寄せる。

 

(来る途中で事件や事故に巻き込まれてたりしてないかな?) (田舎過ぎて道に迷ったんじゃ…) (いや、でもそれなら連絡くれるよね。) (もしかして今日の約束は冗談だったとか…!?)

 

いろんな想像が頭の中を掻き回して、わたしをいじめてくる。

 

連絡しようにも、探そうにも、私は【あいつ】に関する情報を何も持っていないことに気付く。名前も年齢も住んでる場所も、性別だってこんな口調だから勝手な先入観で男の人だと思っていたけど、本当は女の人かもしれない。

 

そもそも人間なのかも怪しくなってきた。自らのことを「救世主」と名乗るくらいだから(※第二話参照。)この際、ロボットでも宇宙人でも目の前に現れてくれたら面白いのにと非現実的な期待もした。

 

こうしている間にも時間は刻一刻と過ぎていく。いつまでも会った事も見たこともない“ニンゲン”に心配ばかりはしていられない。なんて言ったって、今日は私という“人間”を生んでくれた二人の“人間”の結婚記念日なんだから。

 

私は胸の奥で渦巻く不安感を半ば強引に、こころの引き出しの中に押し込み料理をはじめた...。

 

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no.14 「おめでとう」という言葉の影に隠した

「最後に、セルフィーユを添えて...っと。完成~!」

 

料理を作り終えたときのなんとも言えないこの達成感がすき。作った人にしか味わえないこの気持ちが、私を料理の道へと走らせた原動力なのかも。

 

窓の外を見るともう真っ暗で、もう一生迎えることのない今日という日が終わりを告げようとしていることがわかった。そう思ったら何だか途端に寂しくなって、まだ終わって欲しくなくて、ハンガーからコートを剥ぎ取るように羽織り、靴も履かず、裸足のまま外に出た。

 

そしてどこにいるかも分からない【あいつ】の姿を必死に探した。家から少し歩いた先はあたり一面、田園が広がり遮るものなど何もない。それ故に、容易に5キロ先、10キロ先まで見渡せた。

 

まだ19時前だというのに、誰も歩いてない。車もほとんど通らない。通るとしたら、畑仕事を終え帰宅するKトラックに乗ったご老人たちくらいだ。この人たちが【あいつ】だとは到底思えない....

 

______________________________どれくらい歩いただろう。

 

歩き疲れていつの間にか田んぼの土手に座り込んでボーっとしていた。時間の流れなんて忘れてしまいそうなくらい穏やかでゆっくりと流れる風景。

 

PUUUUPUpuuuuuuuu~!!!!」

 背後からいきなり鳴らされるクラクションに体がビクつく。しかし、すぐに私の父の車だと振り返らずとも音だけで分かってしまった。トラックのクラクションは一台ごとにわずかに音が違うのだ。

 

隣に乗せてもらい、家に帰る。さっきまで誰もいなかったはずの家にはいつの間にか家族全員が揃っていた。何とも表現のしがたい安心感に包まれ、私は思わず泣いてしまった。

 

困惑しながらも、優しく宥めてくれる母。それを笑いながらも温かいまなざしで見守ってくれる家族。私は大切なことを忘れていた。いや忘れていたんじゃない。目を逸らし、逃げていたんだ。

 

私がつくった料理を囲み、みんなで食べた夕食はどんな高級料理も敵わないくらいに美味しかったと思う。さすがに、冷蔵庫の奥にあったケーキにも気づいていたようで私はネットで知り合ったどこの誰かもわからない【あいつ】のために作ったんだけど、と言う言葉を飲み込み、「おめでとう」という言葉の影に隠した。

 

 

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no.15 あなたに貶された言葉を使って今日も誰かに伝えたい想いを届けています。

 

あなたに貶された言葉を使って今日も誰かに伝えたい想いを届けています。せっかくの楽しい雰囲気に水を差すのはいけないと思い、家族団らんの中で私は部屋に戻った。パソコンを開いてもなんの音沙汰もない。

 

「なんなのよ、も~~~!!」

 

あてのない、いらだちが募る。

 

「…お礼、言いたかったな。」

 

【あいつ】と出逢ってから私はたくさんのことに気付かされ、思い出させられた。

 

見る世界に、がついた。

 

言葉の尊さも、時間の儚さも教えてくれた。

 

もっと日常を、今この瞬間を大切に生きていかなければと強く思わせてくれた。

 

それなのに当の本人からあれ以来何も連絡がないなんて…

 

目を瞑り、思い描いてみようとするが何の情報も持ち合わせていない為、ぼやけたままの残像がわたしのなかに存在していた。

 

「会ってみたいな…」____気が付くと私はそのまま眠ってしまっていた。

 

次の日の朝、目が覚めてパソコンを開いても相変わらず、【あいつ】からの連絡はない。次の日も、またその次の日も。私は、いつ連絡が来るのかもわからないヒトの連絡を待ち続けた。

 

そして、それは今でも…。

 

この感情は『恋』とか『愛』とかそういうものではなくて、ただ一言『ありがとう』と伝えたいだけ、ただそれだけだった。

 

だからいつか、このブログを書き続けることでその人に届くかもしれない。そのときにこれを読んでくれてたら嬉しい。伝えたい。

 

私はあなたのおかげで、今もこうして必死に楽しく生きています。環境のせいにしないで自らの意思で道を選び、一歩ずつ歩んでいます。あなたに貶された言葉を使って今日も誰かに伝えたい想いを届けています。と。______

 

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撮った人:母 撮られた人:ゆるみな。

 

 

第一話〜三話まではこちら。

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ここまで飛んで頂いてありがとうございます。次回からは通常通り、情報発信に努めます。ありがとうございました。この話が事実かどうかは、読んでくれた方のご想像にお任せいたします。では。